甲府の老舗そば店の総本山【奥藤本店】
今年、開府500年を迎えるという甲府。1519年、甲斐国の守護大名で武田信玄の父である武田信虎が現在の甲府市古府中に館を移転、「『甲』斐国の『府(つかさ)』」という意味で「甲府」と名付けられたそうです。駅のすぐ近くに甲府城があり、その跡地が甲府城の別名舞鶴城公園として市民の憩いの場になっています。


駅前には昭和44年に建てられた武田信玄像。今回、少し歴史を感じながら、大正2(1913)年創業の老舗そば店で一杯頂きます。
そば屋といえば、旨いおつまみの宝庫。早速乾杯です。
奥藤に来たならばなんと言ってもまずは「甲府鳥もつ煮」。こちらはその発祥のお店なのです。昭和25(1950)年頃に誕生し、今や甲府を代表する味として知られるようになりました。新鮮なレバーやキンカンなどの甘辛い味付けは、ビールに抜群に合います。
そば屋のつまみといえば王道はだしの効いた玉子焼。そばつゆのかえしを使っており、ほんのり甘い味付けは保証付きですが、色味が美しい黄色です。
あまり知られていませんが、山梨県でも馬肉を食べます。長野県は農耕馬が馬食文化に深く関係しているようですが、山梨県では富士山信仰で荷揚げに馬が用いられることが背景ではないかということ。とても柔らかい赤身の馬刺しは、生姜・にんにくお好みの薬味でいただきます。
葉ワサビの醤油漬けはお隣笛吹市芦川産のものを刻んだ一品。山梨県も水がきれいなところでワサビが生産されています。
さてカツ丼の発祥が甲府という説があるのを知っているでしょうか。しかもその発祥の店はなんと明治後期のそば屋。こちら奥藤もその流れをくむ元祖系のカツ丼で、卵でとじることもソースやたれで味付けされて出させることもありません。丼に千切りキャベツと揚げたてのとんかつ、トマトやレタス、レモンにキュウリ、ポテトサラダが載ることすらある、全国で唯一のカツ丼です。これがつまみやサラダとしてもイケるのです。
たっぷりいただきましたが、やはり〆はざるそばで。そばはしっかりしたコシのそばで富士の恵みの水を使った純手打ち。つゆは「半生かえし」という砂糖を溶かすだけの醤油を加熱し、生醤油と合わせたものを使い、だしの風味香る、そばをたっぷりつけても美味しくいただけます。
甲府のそば屋といえば「奥藤(おくとう)」というくらい地元では知名度が高いのですが、多くののれん分けされた店があり、こちら「奥藤本店」はいわばその総本山のようなお店。創業は駅前だったそうですが、一度国母に移転、お客さんの要望で平成23(2011)年に再び駅前にお店を出されたのだとか。
創業106年になる老舗で味わう山梨の郷土の味の数々。今回いただきませんでしたが、こちらでは特製のほうとうもメニューにあります。次回は是非ほうとうも食べてみたいものです。
奥藤本店 甲府駅前店
山梨県甲府市丸の内1ー7-4
055-232-0910
不定休
11:00~14:30(L.O14:15)、17:00~20:30(L.O20:15)

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